変分ベイズ法の量子力学的拡張について

2017年が終わるということで、久しぶりにブログを書く。

最近の自身の結果について語ろうと思う。現在査読中ではあるが、原稿は以下にある。

https://arxiv.org/abs/1712.04709

端的にいうと、「変分ベイズ法を量子力学的に拡張した」というものである。

上の説明を受けると、まず「変分ベイズ法」とはなんだろうとおもう方がいるだろうとおもう。詳しくは説明しないが、今流行りの機械学習の学習アルゴリズムの一つである。より詳しく説明すると、パラメータを含むモデルを仮定し、それと生成モデルで定義されるKullback Leibler divergenceを最小化することで、仮定したモデルのパラメータの分布を推定するアルゴリズムである。さらに、平均場近似という仮定をおき、繰り返し計算によって推定を行う。これは、平均場近似なしでは一般に計算不可能だからである。数式なしにこれ以上説明することは不可能なように思えるので、しっかりと理解したい人は、上記の論文の説明を読むか、専門的な本を読んで欲しい。

変分ベイズ法は広く利用されており、有効なアルゴリズムである。一方で、初期値に依存して最終的な解が異なってしまう。要は、局所最適解によく落ちてしまう。これは平均場近似の一般的な性質でもある。

我々は、この問題を量子力学的にアルゴリズムを拡張することで解決することを目指した。完全に解決したとは言わないが、かなり良いアルゴリズムが提案できていると考えている。

しかし、数学的なメカニズムについてはほぼわかっておらず、現在研究を進めている。興味があれば、一読をお願いします。

本研究と近いタイトルの先行研究がある。しかし、数学的に間違っている。しかも、なぜ取れたのか、理解不能だが、それで博士号が出ている・・・。この間違いについては、本論文では理論を綺麗に書くために意図的に言及しなかった。論文の続報で言及する可能性が高い。ただし、共著者との議論によっては永久にお蔵入りするだろう。あるいはレフェリーに言われれば、Appendixに追加するかもしれない。何れにしても、かなり長いTeXノートは既にあるので、聞かれればいつでも答えることはできるように準備している。